隅田川に消えた梅若丸と母
どんな伝承か
京の公家吉田少将惟房の子として生まれた梅若丸は、七歳で比叡山に上ったが、十二歳の年に家へ帰る途中、大津の浦で人買いの信夫の藤太にだまされ、東国へ連れ去られた。旅の途中で病みつき、隅田川を渡ったところで一歩も歩けなくなると、藤太は河辺に置き去りにして去った。里人が手を尽くしたものの、都鳥に問うてくれと詠んだ一首を残して息絶えたという。忠円阿闍梨が塚を築き柳を植えて印とした。翌年、狂ったように尋ね来た母が塚の前で念仏するうち、夜半に梅若丸の姿が現れ、明け方の霞とともに消えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。