水垢離で風邪を鎮めたおしゃぶき婆
どんな伝承か
山梨県北巨摩郡明野村上手の伝え。小袖の部落は、昔は十戸ほどの小さな集落だった。あるとき悪い風邪が大流行し、ある家の老婆は神の力にすがるほかないと考えて、栃沢川の氷を割って入り、水垢離をとって風邪の退散を祈った。その読経の声はあたりの山々に響いたという。七日目の満願が近づくと病人は次々と快方に向かい、満願の日にはついに床につく者がいなくなったが、老婆はその日の夕刻、祈りを続けたまま息を引き取った。部落の人々は東の端に石祠を建て、おしゃぶき婆と名づけて信仰するようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。