口外して渕に引き込まれた喜助
どんな伝承か
木材を扱う御用人の喜助は、三十人あまりの人夫を率いて安居川に入り、伐り出した材木をかどやの渕へ流し入れていた。すると突然雷が鳴り、荒れ狂う風雨とともに材木がことごとく渕へ吸い込まれてしまう。喜助が渦を巻く底へもぐると、そこには立派な宮殿があり、大勢の侍女を従えた美しい姫がいた。材木を返してほしいと頼むと姫は、人夫が金物を投げ入れるので取り上げたのだ、ただしお前の度胸に免じて返す、水底で見たことは決して口にするなと答えた。喜助が上がると材木も浮かんできたが、のちに約束を破って話してしまい、たちまち渕へ引き込まれた。そこを喜助渕と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第12巻』所収の「文化叙事伝説」全139話(香川・徳島・愛媛・高知=四国)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。