海神と天神の神争い
どんな伝承か
音田に住んでいた人々は、山田を作り、野山で兎や小鳥をとって、のどかに暮らしていた。だが人が増えるにつれてもめごとが起こり、争いが絶えなくなった。これが海神の怒りに触れ、里じゅうを海水で満たそうとされた。里人が山へ逃げると、西の海から海神が飛んできて鬼ヶ臼の山頂に降り、大岩の上に臼を作って、悪い心を持つ者を片っ端から捕えては搗きはじめた。七十八日も続いてあたりの海水は真っ赤に染まった。七十九日目の朝、雲の上に男女二人の神が現れ、殺生をやめるよう諭す。海神は自分の翼馬と使いの神の競走を持ちかけ、女神が連れてきた赤子の姿の力の神が勝った。海神は竜となって西の海へ去り、海水も引いて田畑はよみがえった。里人は海神を鬼とののしり、そこを鬼ヶ臼と呼んだ。山頂には今も高さ二メートルほどの大岩がそそり立つ。
原典より
<高木——「竜尾男鹿の神軍」 柳田——「鬼石」>昔、音田に住んでいた人は、山田に を作ったり、野山で兎や小鳥をとったり、また、木の皮のすじや藁や獣の皮でいろいろな物を作ったりして、のどかな暮らしをしていた。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第12巻』所収の「文化叙事伝説」全139話(香川・徳島・愛媛・高知=四国)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。