多鯰が池
どんな伝承か
智頭町大字新見に、大同年間、真雅僧正の開基になる宇谷山豊乗寺という古刹があり、昔から大蛇が住むという。蛇池と称する古池があり、弁才天が祀ってある。元亀天正のころ、惣地村の西尾某という富農の娘で、清美という十八になる美しい娘が、隣村新見の若者と深く契り、夜ごと通っていた。ある夜、豊乗寺の池畔を通って行くと、その夜はまさに恋人の婚儀の最中であった。裏切りを知った清美は恨みを抱いて帰る途中、歩行の自由を失い、豊乗寺の古池の畔で水面を覗くと、髪は乱れ、口は耳まで裂け、蛇体に変わっていた。清美はそのまま入水したという。恋人は髪を下ろして奥山に庵を結び、その山を清美の谷という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。