満願寺の宙釣り観音
どんな伝承か
御調町菅の山上に海頭山満願寺があり、樟の一木造りの千手観音が安置されている。奈良時代の僧行基の一刀三礼の作と伝え、丈五尺の像は足と蓮台の間に空間があって紙を前から後へ通せるので、宙釣り観音という。この観音はもと菅の天狗ヶ丸山の麓の堂面にあったが、戦国時代に何者かに持ち去られ、堂面の寺は廃寺となった。慶長九年、周防国萩の安養院に霊験ある宙釣り千手観音が現れたと噂が立つ。菅村の六助の夢枕に観音が立ち、白衣の巡礼の背に乗って村へ帰ると告げた。約一年後、巡礼が観音を背負って現れ、下ろすと一陣の花嵐とともに姿を消したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。