赤子岩
どんな伝承か
下関市彦島の西山に、お夏という漁師の娘がいて、海で仕事をしていた。父が病気になり、蛸が食べたいというので、一日中海を探し回った。ようやく見つけた大蛸の足を一本切って帰り、父に食べさせ、近所にも配った。以来二、三日ごとに足を一本ずつ取りに行ったが、最後の一本を切ろうとしたとき、蛸に海の底へ引き込まれてしまった。この海岸に上がる蛸を土地では「お夏だこ」といい、漁師は祟りを恐れて取らないという。親条にあたる広島県豊田郡大崎町の「婆の岩」と同じく、大蛸の足を一本ずつ切り取った末に、最後の一本で海へ引き込まれる型の伝承である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。