蘇民将来と茅の輪
どんな伝承か
この辺では牛頭天王は武塔天神の子だという。七つの時に身の丈七尺五寸、頭へ牛の面をつけていた。ある日、狩に出て休んでいると白い鳩が盃にとまり、竜宮の娑竭羅竜王の第三姫を妃に勧め、案内するという。供の大臣を従えて出かける道中、巨旦長者に宿を断られた。巨旦は富を蓄えていたがけちで無情な者だったので討とうとしたが、大臣たちに止められ、巨旦の兄にあたる貧しく情け深い蘇民将来の家に泊まった。蘇民は雪を振るい落とした栗をしごいて栗の飯を炊いて出し、天王は願いのかなう牛玉を与えた。天王は竜宮で八年のうちに五人の王子と三人の姫をもうけて帰り、蘇民は牛玉の力で立派な家と宝物を出して迎えた。一方の巨旦は千人の僧を雇って大般若経を読ませたが、坊主が一人居眠りした隙に攻め込まれ、一人残らず滅ぼされた。この時、蘇民の願いで、茅の輪を腰にさし「蘇民将来の子孫になる」と書いた札をつけた者だけが助けられた。牛頭天王を鳩が案内したというので、何百年もの昔から小童の祇園祭りには鳩が来るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。