蘇民将来と茅の輪
どんな伝承か
往昔、沼田里に疫病が流行して住民が苦しんでいた。この時、沼田川の辺りに真人という者が住んでいた。ある日、異人が来て一宿を請うたが、真人は悪疫流行の折なので宿は難しいと答えた。異人は、それはもっともだが、一宿を許せばこの辺の悪疫を癒すだけでなく、去った後に自分を祭れば眷属をこの地に住まわせ、永く疫病を除き地方を繁栄させようといい、自分は南海に通う武塔神であると名のった。真人が畏まって、僻村ゆえ栗麦の飯しかないと言うと、それは珍しい、早速与えよと言われたので栗飯を進ぜたところ、好い飯だと誉め、この潮水を堰き止めて沼田川の水を引き田として稲を作れば豊かに稔るだろうと告げた。天神が立ち去ってから悪疫も止み、田を拓くと豊作だったので、神徳を敬って宮居を構えたところ、遠近から詣る者が多く、この一帯はついに市聚となったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。