牛頭の太子と蘇民将来の札
どんな伝承か
新市町に伝わる長い縁起。豊饒国の武塔天皇の子である武塔太子は、身の丈七尺五寸、頭には三尺の牛の頭と角を持つ姿だったため、位に就いても后となる者がいなかった。庭に来た山鳩が沙竭羅竜王の第三姫、波利菜女こそ后にふさわしいと告げ、太子は南海へ旅立つ。道中で宿を求めたが、長者の巨旦将来は広い屋敷を持ちながら断り、あばら家の蘇民将来が乏しい中から栗がゆを炊いてもてなした。姫と結ばれた太子は八年後に再び訪れ、疫病に苦しむ蘇民将来一家を救うため、六角に削った木に子孫の名を記した札を門へ張らせる。翌朝、巨旦将来の一族は絶え、蘇民将来の家は富み栄えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。