稚児ヶ淵の岸で生まれた赤子
どんな伝承か
大萱には稚児ヶ淵と呼ばれる淵があった。幟竿を差し入れても底に届かないほど深く、周りは崖が切り立って、見るからに恐ろしい場所だったという。近くの村にたいそうな美男の武士がおり、村の娘と情を通じて娘は身ごもった。思い悩むうちに腹は人目につくほど大きくなり、娘は死ぬほかないと覚悟を決めて、泣きながらこの淵まで歩いてきた。ところが淵に着いたとたん、赤子が生まれたのだった。淵の大石の上には、馬の足跡と稚児の歩いた足跡が残っていたと語られる。
原典より
〈柳田―「稚児淵」〉昔、大萱に稚児ヶ淵という名の淵があった。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。