池に身を投げた庄屋の娘
どんな伝承か
近江・越前・美濃の境をなす三国岳の頂に夜叉ヶ池がある。どれほど日照りが続いても涸れることがなく、棲みついた大蛇が雨を授けてくれると信じられてきた。ある旱の年、作物が枯れていくのを見た村人たちは山を登り、池の大蛇に雨を乞うた。だが待てども雨は落ちてこない。そのとき庄屋の娘が、自分が大蛇のもとへ嫁いで雨を呼ぼうと決意し、山へ登って池に身を投げた。ほどなく雨が降り、村は救われる。人々は娘を忘れまいと、盆ごとに白木の盆へ化粧の品を載せて池に浮かべる。盆は水面の中ほどまで進むと、くるりと回って底へ吸い込まれていく。夜叉ヶ池が雨乞いの地として知られるようになったのは、このためだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。