赤池の鯉右衛門
どんな伝承か
熊野郡の川上谷川の下流の方に池があった。いつも水が濁っていたので、この池を赤池と呼んでいた。この池には大人の体よりも大きい鯉が主として棲んでおり、鯉右衛門と呼ばれていた。ある年、海士の若者たちがこの鯉を捕えて食べようと、赤池の水のかい出しにとりかかった。ところが水かえの最中に自分たちの村の方に火事の煙が上がった。若者たちは村へ駆け戻ったが、村には火事の様子はない。そこでまた水かえを始めると、また村の方で火事の煙が上がる。前のことがあるので大丈夫だろうと続けていると、村人が走って来て村が焼けていると告げた。このことがあってから、誰も赤池の主の鯉を捕えようとする者はなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。