大坪の盛衰
どんな伝承か
むかし洪水があり、佐用川に川上から大きな壺が流れてきて岸に止まった。里人がふたを開けると、中から五、六歳の男の子が出てきた。人びとは「流れ子」と名づけて育て、流れ子は賢く育ち、自分の乗ってきた壺で酒を作った。一口飲めば百病がたちどころに治る酒で、家は富み村も栄えたので、壺の徳だとして村の名を大坪と呼ぶことになった。ある年の水無月のころ、柿色のかたびらを着た老人が訪ねて来て、流れ子は旧知のように壺を家のまん中に置き、酒を飲み歌い舞った。ところがその日の夕暮れ、激しい風雨に雷が鳴りひびいて山はくずれ、流れ子の家は跡かたもなくなっていた。大坪の人びとは以後、柿色のかたびらを嫌うようになった。
原典より
むかし、洪水があって佐用川一面にあふれる水がとうとうと流れていました。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。