弘法機
どんな伝承か
大師さんが通りかかると芋掘りをしている者がいたので、その芋を一つくれと言うと、「この芋は石芋だから食べられん」と断られた。それきりその家では、何度作っても固い石芋しかできなくなった。また高い所で咽が乾いて休んでいると、下から水を汲んで上がって来た女が快く飲ませてくれたので、大師さんは錫杖で地面を突き、一年中水の出る穴をあけた。さらに機を織る女に手拭を一筋乞うと、なんぼでもと切ってくれたので、「お前の一代、この機は縦糸だけはやるから、横糸だけ用意して織れ」と言った。何年織っても縦糸は無くならなかったが、退屈した女が糸の巻いてある勝に爪を立てると、それきり糸は無くなったという。
原典より
〈高木―「石芋」「古市の井戸」 柳田―「石芋」「弘法水」〉大師さんが通りよらはったら、芋掘りを、じゃが芋の芋掘りをしとった。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。