五鈷杵が留まった吼木の桜
どんな伝承か
能登名跡志は、大同年中に弘法大師が帰朝するとき、船中にどこからともなく法華経読誦の声が聞こえたと記す。声に従って漕ぎ寄せると今のみづき島に着いた。そのとき白山の宮が翁となって現れ、吼木の山上へ導いた。その道筋を田の中のあがりの小路といい、橋の跡を元橋、橋詰めの霊水を洗足の井と呼ぶ。翁は、自分の住む山に桜の古木があり、夜ごと光り物が出て吼える声がすると告げた。大師が登ってみると、読誦の声はその木の声で、光り物は唐から投げた五鈷杵であった。そこで山を開いて寺を建て、吼木山法住寺と名づけたという。翁は白山妙理大権現であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。