上崎の入定塚と紺屋の老女
どんな伝承か
むかし上崎村に新堀紺屋と呼ばれる財産家の紺屋があり、物知りで信心深いおばあちゃんがいた。せがれ夫婦も商売熱心、孫も三人と何不自由なく、この世に思い残すことはない、一日も早く御仏のもとへ行きたいと願うようになる。ある日、家族を集めて生き入定させてくれと頼み、家族が長生きを願っても決意は変わらず、親族の同意を得て入定の日が来た。大きな樽が埋められ、ふとんや十日分の食べ物も入れられた。おばあちゃんは籠に乗って入定塚に着き、塚の中に入ると、節を抜いた太い青竹を通して、しばらく満足そうに経を唱える声と鐘の音が聞こえていたという。塚には延宝三年の大日如来供養塔が今も立つ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史・自治体史(民俗))
『騎西町史 民俗編』第9章所収の伝説・昔話・妖怪。埼玉県騎西町(現加須市)に伝わる口承を採録する。