大歳の晩に火種を絶やした嫁
どんな伝承か
脇野沢では、囲炉裏は暮らしにいちばん大切な火種のある場所であり、生活の中心であるがゆえに、そこに神を認めて常に清らかに保つことが求められた。炉の囲いは神を祀る囲いと考えられ、爪や髪などの不浄なものを投げ入れて燃やせば火まで穢れるとして、塩で清めることも行われた。炉に火を入れ、火種を絶やさぬようにするのは嫁の役目とされていたらしく、東谷サヨの語る「大歳の火」の昔話は、そうした事情を映したものだという。炉に火を入れるときは、必ず手と口を洗い清めてから行ったと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史・自治体史(民俗))
『脇野沢村史 民俗編』第七章・口承文芸所収の伝説と世間話。青森県下北半島・脇野沢村の口承を採録する。脇野沢を七地域に分けて語る地名起源伝説、子供を脅す妖怪モコ・ジョジョ、海に現れる亡者船、そして数多く語られるキツネ伝承を中心とする。