小松島の一声オラビ
どんな伝承か
徳島県の小松島で聞いた話である。埋葬をすませて帰るとき、『一声オラビ』といって、ごく親しい者が死者の名を一声大きくどなってから帰ってくるという。これは、一たん墓に葬ったものを家へ連れて帰る意味ではないかと解される。同様に、香川県高見島では埋葬のあと近親者が笹一本を腰にさして帰り、死者の寝ていた所に立てて『仏をもってくる』といい、隠岐では埋葬して帰るとき『エノーゾ』と声をかけて帰る。いずれも忌の間、家に霊魂を迎え、忌明けに送り出す習俗とみられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。