椎の実が人となって闘う
どんな伝承か
欽明帝の五年十二月、越の国から次の報告が入った。佐渡島の北、御名部の碕岸に粛慎人を乗せた船が一艘着き、乗員は年中漁に明け暮れて魚ばかり食べているので、島人は鬼魅ではないかと噂した。また島の東の禹武邑の人が椎の実を拾って灰の中に入れて炊くと、その皮が爆ぜて一尺あまりの二人の人となり、飛び上がって相闘った。恐れた村人が庭に捨ててもなお闘うのをやめない。神社の巫女に神意を問うと「鬼魅のために里人が苦しめられるであろう」との予言があり、果たして粛慎人の略奪が始まって村人は大いに苦しめられた。しかし彼らが瀬波河浦の水を飲んだために神罰が当たり、粛慎人は全滅してしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。