針も拾える明るさの湯の坂の狐火
どんな伝承か
日露戦争の直後、稲子の牧場で柵を作った帰り道でのこと。新開の家で茶をふるまわれ、外へ出たころには日が暮れていた。馬を引いてしばらく行くと、大岩のあたりに小さな火の玉が現れ、みるみる大きくなって、落ちた針も拾えるほどの明るさになった。同行の父は、湯の坂で狐がよたを始めたぞ、と言った。やがて光は岩の下いっぱいに広がり、走り回る狐の姿までよく見えたという。北側の山は少しも明るくならず、火が消えると真の闇に戻った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌・自治体史(民俗))
『南佐久郡誌 民俗編』第十三章所収の伝説・世間話。長野県南佐久郡に伝わる口承を採録する。