灌漑池に続く雑木林に中世の宝篋印塔や無縫塔が立つ古墓があり
どんな伝承か
三田市上青野の字鍔坂口の山麓に灌漑池があり、池に続く雑木林の中に古墓がある。中世の作と見られる立派な宝篋印塔が立ち、無縫塔とその台座らしい反り花も転がっている。安田栄三郎によれば、あの山中には昔立派な寺があったと伝え、百年ほど前までは古墓の辺りに尼寺と三メートル四方ほどの堂があって観音が祀られていたという。今、氏神感神社の一の鳥居前に立つ石仏の観音は、曽祖父が西国巡りを三十三回した記念に尼寺の前へ立て、後に移したものであるとも聞いているという。この寺は千丈山正福寺であろうかと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告・自治体史(民俗))
『兵庫県民俗調査報告8』第10章口頭伝承所収の伝説。兵庫県三田市周辺・千丈寺山麓に伝わる集落発祥・神社・廃寺・城跡の伝説と怪異を採録する。人を神として祀る南千丈寺山頂の松住大権現の磐座、焼き討ちされた千丈山観音廃寺、疫病神を追い払う戸守の鍾馗、法事帰りに重箱を襲う狐狸の怪、人の尿を好み小便たごを空にする狼話3題などを収める。各事例を日付・場所・人物・状況のマーカー付き事例単位で網羅した、摂津・三田の伝説と狐狼・鍾馗信仰の資料。