大瀬の狐と牛のたわむれ
どんな伝承か
中川の改修が行われるころまで、大瀬にはたくさんの狐が住んでいた。中川の土手で草を食む牛と狐はじゃれ合うのが好きで、嫌がった牛が逃げたり角で突きかかったりすると、狐は跳ねたり駆け回ったりして楽しそうだった。あるとき話者は古新田の煉瓦工場の近くでその狐を捕まえたが、一発屁を浴びせられ、七日ほども臭いが抜けなかったので放してやった。狐を捕らえたりいじめたりすると祟るといわれ、近所でそんなことをする者はいなかった。
原典より
狐をつかまえたり、いじめたりすると祟りがあるといわれ、近所ではそんなことをする人は誰もいなかった。—— 八潮市史 民俗編――伝説・怪異(八潮市(編)・八潮市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
八潮市史 民俗編――伝説・怪異(八潮市(編)・八潮市史)
『八潮市史 民俗編――伝説・怪異』は、埼玉県の『八潮市史』民俗編から伝説の部分を収めたものである。市内の各地区で聞き取った稲荷火や狐の嫁取り提灯、狢・河童・蛇の話、徳川家康の鷹狩りにちなむ地名や塚の由来、地蔵や人魂、念仏橋の話を、話者の言葉づかいのまま地区名を添えて並べる。概説のあとに自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三つに分け、話の群ごとに『日本民俗事典』や『武蔵の伝説』などを引いた参考を付ける。