相手に厄害を加える呪い――丑の刻参り
どんな伝承か
相手に災いをもたらすためのまじないとして、大日向・余地・曽原・上区・高野町の五地区から報告が寄せられた。藁や紙で人形をつくり、夜更けに人知れず神社や墓地の木へ五寸釘で打ちつけて特定の人を呪う、いわゆる丑の刻参りである。四地区は話に聞いたというだけだが、高野町の話者は実物を見ていた。明治三十年頃には海瀬の秋葉神社の裏の木に藁人形がしばりつけられ、節々に打たれた釘の穴には餅がつめてあったといい、明治四十年頃には高野町の八幡様の木に紙の人形が釘で打たれているのを見てぞっとしたという。
原典より
何れも藁人形又は紙人形を、神社や墓地の木に深夜人しれず五寸釘でうち込んで、特定の人を呪うのである。—— 佐久町誌 民俗編――俗信(佐久町(編)・佐久町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐久町誌 民俗編――俗信(佐久町(編)・佐久町誌)
『佐久町誌 民俗編――俗信』は、十石峠から横岳に及ぶ佐久町の町誌のうち、町内の俗信を扱った民俗編の一部である。大日向・余地・高野町・上区・花岡など各地区で採集した天候や作柄、火事や死の予兆、夢と縁起、易者や戸隠神社の御籤による占い、厄病よけや雷よけのまじない、死や産にかかわる忌み、ものもらいの民間療法などを記す。予知(予兆)・占いと呪い・物忌み・民間療法の節に分け、項目ごとに地区の言い伝えを地区名とともに並べる。