茶の木(相撲狸)
どんな伝承か
海部郡牟岐町大字河内字東浦の石屋職の某という男が、同町の字灘へ仕事に行った帰り道、親方の家で一杯振舞われたので時刻が大分遅くなった。字石橋の付近まで来たとき見知らぬ男と道連れになり、話が相撲に及んで、双方とも力自慢と分かったので路傍の草原で一番取り組むことになった。勝ちつ負けつで夜が更けるのも忘れた。翌朝、帰らぬ亭主を案じた女房が石橋の付近まで来ると、畑の中でヨイショヨイショと声がする。近づくと亭主が畑の茶の木に組みついて相撲をとっていた。背中を叩くと正気に返ったが、男は負け惜しみに「わしは狸にはばかされんが、茶の木にばかされた」と言ったという。
原典より
海部郡牟岐町大字河内字東浦の石屋職の某といふ男、同町の字灘といふ所へ仕事に行つての歸り途、親方の家で一杯振舞はれたので、時刻は大分遅くなつてゐた。—— 阿波の狸の話(不明(徳島県史蹟名勝天然記念物調査委員と本文中に自署。著者名は本テキストに明記なし)・大正末〜昭和初期(本文に「煙草専売法施行から二十四五年」「大正十年」等の記述あり、収録は昭和初年頃と推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の狸の話(不明(徳島県史蹟名勝天然記念物調査委員と本文中に自署。著者名は本テキストに明記なし)・大正末〜昭和初期(本文に「煙草専売法施行から二十四五年」「大正十年」等の記述あり、収録は昭和初年頃と推定))
徳島県(阿波)に伝わる狸譚を集成した郷土怪異資料。