父の帰幽の後に起きた幽体離脱
どんな伝承か
研究会長の永峯は、実験の前に霊媒の益田小妙の素性を列席者に紹介した。小妙は但馬の豊岡の生まれで、生家は豊岡の近在にある御陰稲荷、父は長くそこの神職を務め、七年前に亡くなっている。現象が出はじめたのは父の死からおよそ一週間後のことで、ある時ふいに幽体離脱が起こり、体は神社の社務所に残ったまま、幽体は三キロほど離れた川向こうの伯母の家に現れたという。父はかつて大本教で鎮魂帰神の法を身につけており、小妙も十歳ごろから霊媒として父の入神を手伝っていたらしい。
原典より
大体、現象の出だしましたのは、お父様が帰幽されてから、約一週間後だそうで、忽然と幽体離脱がおこつて、肉体は神社の社務所に、…—— 霊界(長田幹彦・1953年(昭和28年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界(長田幹彦・1953年(昭和28年))
『霊界』は、長田幹彦が昭和二十八年に著した心霊の講話集である。著者の超心理現象研究会で行った交霊会の実験、物品の引き寄せや乾板への感光、エクトプラズムやライン博士の念力説、霊との対話から考えた死後の世界を、語りかける口調で説く。霊の実験・肉体のない人間・美しい死後の世界・霊媒の生態の四講からなり、最後の講は交霊会の夜の霊媒たちの姿を物語ふうに描く。