片手片足斬りの沼に生えた片葉の葦
どんな伝承か
本所七不思議の一つ。いまの両国橋の近くにあった沼には、片側にしか葉のつかない葦が群れ生えていたと伝える。昔この沼のほとりで片手片足を斬り落とす仕置があり、その死体が沼へ投げ込まれた。斬られた者の恨みによって、以後そこに生える葦はことごとく片葉になったのだという。紹介者は、その沼はすでに失われていて確かめようがないと断ったうえで、もしその辺りに奇形の葦が生えてくることがあるなら、この話も事実なのかもしれないと書いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考2-本所七不思議(西郊民俗・昭和46年以降(取材記事含む))
本書は江戸時代の東京・墨田区を舞台とした「本所七不思議」と呼ばれる怪談伝承7話、および山形県の火事予知現象を記録した民俗学的研究である。足洗い屋敷から置いてけ堀まで各話について、超自然的な解釈ではなく、当時の生活環境における光学的錯覚、音響現象、心理作用、自然現象として合理的に検証・再解釈している。幻覚、怨念、祟りなどとして民間で伝承された現象の背後にある科学的・心理的メカニズムを明らかにする点が特徴。