両国橋際で猿を食わせた豊田屋
どんな伝承か
第二次大戦の前には、地域により人によりサルはごく普通に食べられていたと筒井は書く。その例として引かれるのが芥川龍之介の随筆「本所両国」である。それによれば、両国橋の両側には井生村楼や二州楼といった料理屋が並び、すし屋の与平、うなぎ屋の須崎屋、回向院の表門に近い横町の坊主軍鶏など、本所で名の通った食い物屋はおおむねこの界隈に集まっていた。中でも豊田屋は牛肉のほか、冬になると猪や猿まで客に食わせたという。ここから、昭和の初めごろには東京のまん中にもサルを食べさせる店があったことが知れる、というのが筒井の見方である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・現代)