銃口の前で動かなくなる猿
どんな伝承か
白浜町庄川の小森に住む長谷瞬造さんは、林業や農業のかたわら猟を続けてきた。獲物は主に猪と鹿で、猿は有害鳥獣の駆除として年に一頭から三頭ほど捕る。昔は薬にも食用にもしたという。家には岩塩とともに瓶に詰めた乾いた猿の腿肉があり、削って水で薄め味噌汁に混ぜて飲むと腹痛がたちどころに治ると夫人は言う。南方熊楠は、猟師から猿が銃口の前で合掌して命乞いをすると聞いたと書き残しているが、長谷さんは、逃げ場を失った猿は手こそ合わせないものの、じっと動かずこちらを見つめるのだと語った。そのときは撃つのが嫌になる、と。
原典より
第8章 野生動物雑記カモシカは激増しているシカだらけの国道罠にかかったイノシシ人なつこいことも、あるらしいあのとき山中には何がいたか第9章 氷室と風穴を訪ねて—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・現代) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・現代)