不動を奪った監物邸に続く天変地異
どんな伝承か
山内監物は積善寺の薬師堂から不動の木像を持ち帰り、己の邸の門の脇に台を作って据えた。その日は晴れて夕方の空に星が一面に出ていたのに、飯にかかる頃から急に大きな雷鳴が始まり、蒼白い電光が雨戸の隙間から射し込んだ。雷雨は一時ほどで止んだが、翌日村の者は、雷の最中に監物の邸の上あたりから火の団が四方八方へ飛び散ったと語り合った。三日ほどすると、地の底とも谷とも空とも知れぬどうどうという音が朝から夜まで鳴り続いた。その翌日には旋風が百姓屋の物置小屋を捲きあげて春日川の川中へ落とし、牛を大根畑へ叩きつけた。四五日後には暴風雨で山崩れが起き、三軒の農家が埋まった。村では戸波の寺から不動を持ってきた祟りだと噂したが、監物は冷笑した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))