こたつに打った釘で痛んだ夫
どんな伝承か
夫を呪い殺そうとした女から釘と金槌を取り上げた弥勒院の院主は、縁結びの祈祷でその心を解いた。話には続きがある。その年の夏秋が過ぎて冬になり、こたつのやぐらを出したところ一か所が壊れていた。院主は何の気なしに、棚に置いたままだった例の釘と槌を取って打ちつける。翌日の夕方、女がやって来て、夫が昨日から節々が痛んで難儀しているので祈祷をと願った。院主ははたと思い当たり、祈ればすぐ良くなるとなだめて女を帰し、急いであの釘を抜いた。翌日、女はすっかり治ったと礼を述べて喜んで帰ったという。『家庭旧門』巻二に載る一条である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究・エッセイ・昭和)