白峰の御陵で西行に応えた声
どんな伝承か
仁安三年十月、西行法師が讃岐の白峰にある新院の御陵を拝し、墓前で経を読んだ。松山の浪の景色は変わらないのに、あなたは跡形もなくなってしまわれた、という意味の歌を手向け、供養を怠らずに続けていたときのことである。眠っているわけでもないのに、土の上から西行と呼ぶ声がした。目を開けると見なれぬ人が立っている。誰かと問うと、いま詠んだ歌の返しを聞かせるために現れたのだと言い、松山の浪に流されて来た船がそのまま空しくなった、と歌を返し、よくぞ参ってくれたと告げた。西行はそれが新院の霊だと悟って大地にひれ伏し、濁世を離れられたのを羨ましく思っていたのに、なぜ魔道に沈まれたのか、どうか仏果円満の位へお昇りくださいと諫め申し上げた。
原典より
* 世を呪ふ大魔王* 頼豪阿闍梨の怨靈* 鼠と成て祟る* 蛇體になった清姬* 幽霊主家を断絶さす* 乃木大将と女の幽靈* 幽霊に取殺されて甦る* 一家を絶やす外國婦人* 幽霊が迎に—— 幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前))