名古屋歩兵第六連隊補充隊(5)
どんな伝承か
名古屋歩兵第六連隊補充隊(名古屋城内)での昭和十五年四月から七月の体験談。最も辛かったいびりは「犬」と呼ばれるもので、班長の洗濯を忘れるなど新兵が失敗すると、殴られたうえ「てめえは犬だ、各班まわって挨拶して来い」と命じられた。四つん這いで各班を回り、声をかけられるまで「ワンワン」と犬の鳴き真似を続けねばならない。上等兵や古参兵は気づいていながらタバコを吸って知らん顔をし、根負けして近づくとようやく「うるせえ犬だな」と声をかけられ、頭を叩かれて次の班へ這って行く。二つ目の班に着く頃には悔しさで涙をこぼしていたという。
原典より
昭和二十年二月十三日に飛行予科練習生として入隊した。—— 現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 軍隊』を小話単位で全712話収録。徴兵・新兵・上官・戦地・戦争の残虐・敗戦・収容所・軍隊の怪談など、軍隊と戦争にまつわる兵士たちの現代民話を全国(一部は戦地・海外)から採集し話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明189話・市区町村判明76話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。