礼を述べに来る母親の幽霊
どんな伝承か
世田谷の経堂に伝わる話という。二人の子を残して病で世を去ることになった未亡人が、いちばん親しい友人に後のことを託して死んだ。子のなかったその友人は、預かった二人をわが子のように大切に育てた。すると真夜中、枕元に亡くなった母親がぼんやりと現れ、礼を述べながら何度も頭を下げるようになったという。感謝のために出るのだといっても幽霊には違いなく、親切だったその友人はとうとうこの幽霊のために死んでしまったと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。