宮尾温泉
どんな伝承か
愛知県蒲郡市宮尾温泉にあるホテルでの体験。伊勢湾台風で四千七百人ともいわれる死者が出た際、霊安所が足りず遺体は同ホテルの地下に安置されたが、身元不明のまま残された遺体もあったという。その地下室は後にバス乗務員や添乗員の宿泊部屋に転用された。先輩たちは口をそろえて「あそこは嫌だ」と泊まりたがらなかったが、語り手はある夜、観光バスの運転の帰りにその地下に宿泊した。深夜、鉄の扉がバターンと閉まる音が三度響いたが、廊下に人影はなかった。当時はその部屋も宿泊客もわずかで、一晩眠れぬまま朝を迎えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。