雨の窓辺に立ったとみねえや
どんな伝承か
大学に入って世田谷の太子堂でアパート暮らしをしていた小倉嘉子は、ある日昼寝の最中に窓ガラスを叩く音で目を覚ました。外は雨で夜になっており、髪をびしょ濡れにしたとみねえやが立っている。ねえやは先ごろ猫いらずを飲んで自ら死んでいた。墓から出てきては駄目だと言いながら頭を撫でると、こんな雨の晩に一人では寂しくていられない、と細い声が返る。その声で目覚めると外は真昼だった。窓を見て凍りついた。そこは二階だったのである。夏、嘉子は自転車で十二キロの道を走り、墓標もない土饅頭を訪ねた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。