オマクになって帰った早川孝太郎
どんな伝承か
一昨年の暮れに病院で亡くなった早川孝太郎も、オマクとなって家へ帰ってきたという。危篤の電報を受けた母堂が急いで上京し病院に駆けつけたときには、すでに息を引き取ったあとだった。母堂は疲れており、子供だけで留守を守る家も気がかりだったので、武蔵野市の早川家へひとり引き揚げた。するとその夜、玄関に早川が来た様子で、おばあちゃん、おばあちゃんと呼ぶ声がする。母堂は怪しみもせず、はい只今と答えて戸を開けたが、外には誰もいなかった。早川は生前、旅先で死ぬようなことがあれば必ず戻ると語っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。