湯灌の最中に息を吹き返した参次
どんな伝承か
明治の中頃、鉾田の安房で、四十代の参次が急な病にかかった。医者を呼んだものの息絶え、死亡と確かめられた。親類縁者が集まって葬式の支度にかかり、妻と兄弟が湯灌を受け持つ。泣きながら遺体を湯につけて洗っていると、参次はふいに息を吹き返し、きょろきょろと辺りを見回して、自分は何をしているのかと言い、大きな音で放屁したという。葬式はその場で取りやめになった。参次はその後、風邪ひとつひかずに九十歳近くまで生きたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。