納棺の間際に息を吹き返した銀行員
どんな伝承か
松代町小荒戸の富沢作次は、第四銀行松代支店長を退いて悠々自適に暮らしていたが、急な病であっけなく亡くなった。枕経も読まれ、葬式の段取りも整い、いよいよ棺に納めようという段になって、当人がうなり声をあげて息を吹き返す。驚いた一同は葬儀を取りやめ、看病にかかりきりになった。しかし一週間後、今度こそ本当に帰らぬ人となった。仮死の間に冥土の景色を見たという話は伝わっておらず、何も見なかったのか、語れるほど回復しないまま逝ったのかは分からないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。