花の向こうで手招きする女
どんな伝承か
昭和二十八年頃、津山の語り手の母が大病で生死の境をさまよった。快方に向かってから母が話したところによれば、床に伏していると窓の外一面に花が咲いていたという。名は判然としないが菜の花のようだったと母は言う。その花の向こうで美しい女が笑みを浮かべて手招きするので、体は辛かったが懸命にそこまで歩み寄った。ところが女は同じだけ離れた場所へ移り、また手招きしている。あのまま女について行っていたら死んでいたかもしれないと母は語った。母はその後回復し、今も健在である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。