三宅島の兵士が見た向こう岸
どんな伝承か
東京都三宅島で聞き取られた話である。昭和十九年の夏、兵隊に行っていたときに足がつって溺れ、一日のあいだ意識を失った。そのとき自分はこうして立っていたという。こちら側は真っ暗で、鼻をつままれても分からないほどだった。目の前の川はきれいで、砂の一粒までがはっきり見えた。向こう岸もまた美しく、深そうだ、どうやって行こうかと迷っているうちに、ふと気がついたという。話者は岡玄栄、回答者は松谷みよ子である。
原典より
私の叔母が先日(昭和五十七年・註/松谷)亡くなりまして、入院の初め頃は、死んだ者の顔が並んで崖の下に居て「来るな、来るな」と言っていて、自分は崖の上で必死につかまっていたと、夢の中の話をしていました。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。