山中で赤子の声をあげるオギャ泣き
どんな伝承か
柳田國男は『妖怪談義』の妖怪名彙にコナキジジを挙げ、阿波の山間の村々で山奥にいるとされる怪だと記した。形は爺だが赤児の声で啼き、哀れに思って抱き上げると急に重くなって離れず、しまいにはその人の命を取るという。柳田はまた、木屋平の村で子供をゴギャ啼キで嚇すのも同じものだろうと書いている。ところが地元を歩いた多喜田氏によれば、木屋平にゴギャ啼キの言い伝えはなく、赤ん坊の泣き声をゴギャーと言い表す習慣もなかった。かわりに芝原富士夫『木屋平の昔話』には、日暮れの山中でオギャーッと不気味に泣くオギャ泣き、山をうろつく一本足の手杵、抱き上げると離れない山ちちの話が収められていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・1996年-2004年(取材期間に基づく推定))
魔王の木槌を求めて=稲生物怪録(妖怪伝説奇聞)/稲生平太郎の妖怪変化体験/一ツ目巨人・逆さ生首・化け蝦蟇/三次・比熊山の妖怪伝説/各地の妖怪奇聞