水干姿の若者は大ジャ
どんな伝承か
美馬郡郡里村の滝の宮へ新婚まもなく移り、共かせぎで開墾に励んでいた清作は、畑仕事の最中に異様な気配を感じて家の方を見た。見かけぬ水色の水干を着て高下駄をはいた公家姿の若者が、家の周りをぐるぐると回り、やがてすうっと家の中へ吸い込まれた。不吉を覚えて駆け戻ると、部屋いっぱいの大ジャが赤ん坊を一のみにしようと頭をもたげ、舌を出し入れしていた。子の泣き声に我に返った清作は大まさかりで打ちかかり、死闘の末に仕留めた。祟りを恐れて近くに死体を埋め、石を積んでホコラを建てて祭った。滝の宮の小丘上の蛇塚山経塚に残る伝説である。
原典より
* 足をなめる金色の小ヘビ(美馬郡美馬町)* 中津峰三十八社の白ヘビ(徳島市多家良町)* 釜ノ首のウワバミのウロコ(三好郡東祖谷山村)* ウワバミの娘を返り打(美馬郡一宇村)* 宵やみに冷たい女の手(…—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・昭和(郷土採録/伝承は近世〜近代)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・昭和(郷土採録/伝承は近世〜近代))
郷土民俗資料として、伝承の記録(肯定)と『そんなバカなことが』と否定する渡守の懐疑も取りこぼさず網羅した阿波怪談集。