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トンネルで振り返ったミチオの話

所在地神奈川県藤沢市
登場川田、ミチオ、語り手(バンドの仲間・著者のバイト仲間)、体験者(バンドのリーダー・運転者)
出典奇譚草子

どんな伝承か

二十代の著者が鴨宮駅の貨物置き場で荷担ぎのバイトをしていた夏、仲間の川田が昼休みに語った話。学生時代、川田はフォークバンドの仲間五人で車を出し、江の島へ遊びに行った。運転はリーダーのミチオで、助手席には彼の恋人がいた。深夜近く、江の島から藤沢へ抜ける山あいの道を戻る途中、暗いトンネルの半ばでミチオが急に車を止め、叫んで外へ飛び出した。車体を調べても何もない。ところが顔を上げて車内を見たとたん、彼は恐怖に顔をゆがめ、中を指さして悲鳴をあげ走り去った。トンネルを出た所で追いつくと、ミチオは誰の声にも答えず震えるばかりで、正気を失っていた。今も東京の精神病院にいるという。

原典より

その暗いトンネルの中ほどまで来た時、いきなりミチオが急ブレーキを踏んで叫んだ。—— 奇譚草子(夢枕獏) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

奇譚草子(夢枕獏)

『奇譚草子』は、夢枕獏が雑誌の連載ページに書き継いだ怪異譚集である。「〜話」と題した短い話二十篇を収め、生霊の手、階下で蹴ったばかりなのに二階に座っていた祖母、雪山の死体、夜ごと来る小人など、多くは友人や知人から聞いた話を著者が聞き手として書き留める。ただし口上で架空の話も混ぜると断り、雪山の死体の話は読者の指摘で翻訳怪奇小説と同じ筋だったと認める続きの回を置く。末尾は箱根に住んだ元関取に憑いてスサノオと名告る存在の話である。

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