コブシとブナを先生と呼ぶ山の学校
どんな伝承か
昭和一〇年三月、金子さく子さんは小学校の尋常科を出ると、炭を焼く父を助けて山の仕事に精を出した。高等科へだけは行きたかったのに、と卒業式の日に泣いた顔が語り手の心に残っている。それから何年も経って再会したとき、さく子さんの顔は輝いていた。いまは山の学校へ通い続けているのだ、受け持ちの先生は自分で選んでよく、春いちばんに咲くコブシの木だったり、年を経たブナの大木だったりする——そう語る姿は、本当の学校へ通っている人の輝きだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)