狐が一晩鳴いた翌日の大水と榎
どんな伝承か
木次の土手は水害から町を守る堤防であり、同時に大切な道でもあった。その土手には守り神として荒神の祠が据えられ、傍らに榎が植えられていた。かつては馬車や荷車と人が通るだけの道である。ある年の夜、この榎のあたりで狐の鳴く声が一晩じゅう続いた。翌朝から土砂降りの大雨となり川は氾濫したが、人の被害も堤防の崩れも出なかった。のちに道路を広げる話が持ち上がり、榎を伐るか、せめて枝だけでもという案が出たものの、誰ひとり手をかけようとせず、道は反対側へ広げられた。昭和の話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)