山越えに飛んだ火の玉と校長の死
どんな伝承か
昭和三十年の八月、小学校長と保育園長を兼ねていた古屋が肝臓癌で名大病院に入り、危篤と伝えられた。父兄たちは産土神へ平癒を願おうと集会所に集まって相談していたが、遅れて来た叔母が青ざめ、胸を押さえながら、先生はもう助からないと言い出す。ここへ来る途中、大きな火の玉が山の向こうから先生の家の方角へ飛んで行くのを見たのだという。古屋の妻は肺結核で自宅療養中で、先生はそれを深く案じていたから、さぞ心残りだろうと一同は沈んだ。訃報は一日おいた八月十一日に届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。