北設楽郡東栄町本郷村三ッ瀬の為吉が三十年前に見た夢の話
どんな伝承か
東栄町本郷の三ッ瀬に住む為吉という狩人が、三十年ほど前に見た夢の話。あるとき村の者から肺病の薬にする啄木鳥を捕ってくれと頼まれ、猟期外の禁鳥で苦心のすえ二羽を捕って贈った。その頃の夢である。鳥を撃ちに出ると空に異様な音楽が響き、羽毛の一つ一つに黄金の鈴をつけた真白な大鷹が円を描いて舞っていた。逃げても追われ、人家の床下で足を掴まれると、相手は鼻の尖った烏天狗のような姿で、肺病の薬とて生あるものの命を奪ることはない、その薬なら山の草を三種そろえて黒焼にせよと告げた。目覚めると蛇苺のほかは草の名を思い出せず、七日のあいだ水垢離をとって祈ったが、再び同じ夢を見ることはできなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。