旅籠で聞こえた祖母の声
どんな伝承か
大正十三年の話。語り手が山形県の師範学校の二年生だったとき、修学旅行で平泉を訪れ、その途中に一関の旅籠屋へ泊まった。薄暗くやたらと広い宿のせいか寝つけず、うとうとしかけると誰かが体にのしかかってくる。そのとき、自分を育ててくれた祖母の声が耳に届いた。幻聴であり、幻の祖母だったのだろうと本人は考えている。ところが山形へ帰ってみると、祖母はちょうどその頃に亡くなっていた。今でもよく思い出すが、恐ろしさはなく懐かしいだけだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。