嫁の尻を打つ正月のモチギリ
どんな伝承か
モチギリはもともと、上閉伊郡や仙台あたりで果樹を責めて実らせる呪いを指した。望切り、持切りなどと書かれ、仙台の近くでは餅切りと解する者もいる。ところが同じ作法が人にも向けられた。東磐井郡では正月に子のない家へ酒を持参して祝うことをそう呼び、大原町誌によれば、子どもたちが白紙で包んで水引をかけたヌルデの棒で、子のない嫁の尻を打つのをモチギリといった。頼まれて大勢で出向き、産まぬかと問い、産みますと答えさせる問答を交わしてから、酒を酌んで祝う型もあったという。
原典より
今は「すくなく生んで良い子に育てる」時代で、子福者はちっともうらやましがらがられなくなったが、そうはいっても子供の生まれない夫婦の淋しさはまた切実なもの。—— 現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。